【ドバイ=岐部秀光】イラン国営メディアによると、サウジアラビア西部ジッダ沖の紅海で11日、石油タンカーが爆発を起こした。タンカーを保有するイラン国営石油会社は「ミサイル2発による攻撃を受けた」と主張した。火災が発生し、損傷を受けた船体から石油が海上に漏れ出しているという。
犯行声明などは出ていない。サウジとイランの対立が一段と深まり、偶発的な衝突に発展するリスクが高まりそうだ。
現場はジッダの沖合およそ100キロの地点。米制裁で原油の輸出を禁じられているイランのタンカーが、どうして紅海を航行していたのかは不明だ。
今年5月以降、中東では何者かによるタンカーへの攻撃が相次いだ。6月には安倍晋三首相のイラン訪問のさなかに、ホルムズ海峡近くで日本のタンカーなど2隻への攻撃もあった。米国はイランが関与したと指摘している。
9月にはサウジの石油処理施設が無人機やミサイルで攻撃を受け、同国の生産が半分になるなど石油市場に大混乱をおよぼした。攻撃はイエメンの親イラン武装勢力が実行したと発表したが、サウジや米国はイランが直接的に関与したと主張した。イラン側は関与を否定しながら、米国やサウジの報復攻撃を警戒していた。
紅海での石油タンカーの爆発が伝わり、原油価格も上昇している。国際指標のニューヨーク市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は日本時間11日午後の時間外取引で一時1バレル54.7ドル前後と、前日終値に比べ約1ドル(2%)高くなった。中東地域の地政学リスクが高まり、原油供給に支障が出ると懸念が広がった。
2019-10-11 05:51:10Z
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