なぜ、セ・リーグはパ・リーグの後塵を拝するようになったのか。筆者は前のコラムで「先発完投」にこだわるセ・リーグが「救援重視」のパ・リーグに敗れたと書いたが、もう少し長いスパンで考えれば、別の観点も出てくる。
ここ10年の日本シリーズで、セのチームが優勝したのは2012年の巨人だけ。2005年から始まった交流戦(2020年は中止)では、15回のうち、14回がパ・リーグの勝ち越し。パ・リーグの1102勝966敗60分、勝率.533。
セ・リーグは、なぜこんなに弱くなったのか。
MLBでも同じような現象が起きている
筆者はこのコラムでも何度か述べたように「指名打者制(DH)」の有無が大きな差になったと考えている。
MLBでも1997年からリーグをまたいだ対戦、インターリーグが始まっているが、この対戦でも2019年までDHがあるアメリカン・リーグが、DHがないナショナル・リーグに3315勝3047敗、勝率.521と勝ち越しているのだ。なお今季は両リーグともDH制を導入し、リーグをまたいだ変則的な試合編成となっている。
単純に考えても、DH制のあるチームは日ごろから9人の打者を用意して試合に臨んでいる。8人の打者と打撃面ではほとんど期待できない投手で試合をするチームとは戦力的に差がつくのは当たり前だ。
パ・リーグがDH制を導入したのは1975年のことだが、それから45年が経過し、パ・リーグはセ・リーグとは異なる選手育成、起用を行ってきたのだ。その差が交流戦などを通じて近年、顕在化したということだろう。
「DH制」は、守備に就かない打撃専門の選手を打線に加えることだと考えられている。しかし、そんなに単純な話ではない。
実は「DH専門」の選手は、極めて少ないのだ。
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