阪神の新外国人、ヤンハービス・ソラーテ内野手(32=マーリンズ傘下)が勝ち越しの来日1号を放った。

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浮沈の鍵を握る新助っ人が衝撃デビューを飾った。同点で迎えた7回2死一塁。右打席に入ったソラーテが巨人田口のスライダーに反応した。打球は大きな放物線を描き、左翼席へ。来日から6日目でスピード合流し、いきなりの1号アーチ。しかもそれが決勝弾になった。

「信じられない気持ち。鳥肌も立った。まるで自分の国で応援されているかのような大歓声の中で(プレー)できたのは幸せ。今まで聞いたことがないような大歓声の中でダイヤモンドを1周できて最高の気分でした」。

途中入団の助っ人が日本デビュー戦でアーチを放つのは球団史上初。左翼4階席への着弾を確認しても、全力疾走を続けた。大きく両手をたたき、三塁を蹴るとステップを踏む。最後は華麗にポージングを決め、一気に虎党のハートをつかんだ。「セクシータイム」の愛称で呼ばれる理由だ。

「感情を出すことも、ホームランを打った後に何かすることも野球に対してのリスペクト。自分の子どもたちのためにと思ってやりました」。

揺れる心をついに固めた。昨年に阪神からオファーを受けていた。守るべきは家族。悩みに悩んだ転職は、大切な存在のため。32歳で覚悟を持って、海を渡った。試合中も娘3人が写った「♯1DAD」と刻まれたペンダントをつけている。プレー中も、左手薬指のゴールドリングを外さない。16年に前妻をがんで亡くした。プレーしながら、闘病生活で寄り添った。ずっと一緒だった。応援してくれた前妻が息を引き取った後、メジャー復帰初戦で「YULIETT」と名前の入ったユニホームをベンチに飾った。この日の鮮烈アーチも、きっと天国から見届けてくれたはずだ。

「自分の全エネルギーを使って、これからもやっていきたい。全力でどのポジションを任されてもやりたい」。遊撃の守備も軽快にこなした。27日は左翼でスタメン予定。貧打にあえぐチームにとって、強烈なカンフル剤になった。さあ反撃開始だ。ソラーテが猛虎の救世主になる。【真柴健】

▽阪神矢野監督(ソラーテの劇的アーチに)「2死からだった。一振りで決めてくれるのは、本当に理想的な形。(点が取れず)同じような負け方で変わらなかった。そういう部分できてもらった選手。わからない部分も多いけど、やってみて判断すればいい」

▽阪神浜中打撃コーチ(ソラーテについて)「この球場は本塁打で試合が決まることが多い。最高の形。右打席は苦労すると思っていた。かなり実戦での対応力がある」