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マンC、誰も責められない左手…リバプール優勝でも終わらないフットボール。チェルシーはようやく本領発揮 - フットボールチャンネル

本能的に手が出てしまい…

フェルナンジーニョ
【写真:Getty Images】

 勝利を信じて最後まで可能性を捨てなかった者がとっさに出した左手を、誰も責めることはできない。四方八方からピッチで起こるあらゆる出来事を見つめる機械の眼を欺くことはできなかった。

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 現地時間25日に行われたプレミアリーグ第31節、終盤に差し掛かった77分に、マンチェスター・シティの重鎮フェルナンジーニョはスチュワート・アトウェル主審からレッドカードを提示された。VAR(ビデオアシスタントレフェリー)による映像の確認に入ってから、シティのセンターバックを務めていた35歳は自らの運命を悟っていたようだった。

 チェルシーにはPKが与えられ、ウィリアンがそれを冷静にゴールネットに突き刺す。10人になったシティにとって、アディショナルタイムを含めても15分ほどの残り時間で、1-2のビハインドを覆して「勝たなければならない」という使命感はいつも以上に重かったことだろう。

 試合前の段階でシティは巨大なプレッシャーと戦わねばならなかった。もしチェルシーと引き分け以下に終われば、その時点でリバプールのプレミアリーグ制覇が決まる状況。首位とは勝ち点が20ポイント以上離れているためシティの逆転優勝は極めて困難ではあったが、可能性が残っているのであれば最後までしがみつかなければならない。

 フェルナンジーニョの決死のハンドは、絶対に勝利を諦めないという強い信念が体を突き動かした結果だったのだろう。もし同じようなシチュエーションで「ここで失点したら全てが終わりだ!」という状況に自分が遭遇して、「俺は絶対に手は出さない」と誰が言えようか。

 チェルシーが自陣からのカウンターを繰り出すと、ウィリアンがサイドを驚異的な粘りで突き進み、ペナルティエリア内に混沌をもたらした。シティは懸命にクリアを試みたが、タミー・エイブラハムがボールとともにゴールへと突っ込んできて、失点を阻止したかったフェルナンジーニョが本能的に左手を出してしまった。現代のテクノロジーに不正を見破られるのが頭でわかっていても、逆転へのわずかな可能性でも残したかった彼のチームを思う心情はよく理解できる。

 序盤からシティにとって苦しい展開ではあった。チェルシーは非常にコンパクトな4-5-1のブロックを作って相手の攻撃に備え、使われたくないスペースをことごとく消していた。

 ライン側に張り出した相手選手にボールが渡ってサイドバックが引き出されたら、同サイドのセンターバックがすぐ背後のスペースを踏み消し、パスの受け手となる選手を自陣ペナルティエリアの両角に入り込ませない。センターバックが空けたゴール前中央は、アンカーに入っていたエンゴロ・カンテが埋める。

 そして4バックと5人のMFの間を極端に狭くすることで、シティが縦パスや斜め方向の速いパスを危険なエリアに差し込もうとしても、複数人で受け手を囲めるようなスペース管理が意識づけられていた。今季なかなか失点が減らなかったチェルシーだが、フランク・ランパード監督が1年間かけて組織を丁寧に作り上げてきた成果とも言える緻密さだった。

「リバプールが明らかに最高」

ペップ・グアルディオラ
【写真:Getty Images】

 なかなか危険なエリアに入っていけないシティは、36分にイルカイ・ギュンドアンとバンジャマン・メンディの連係ミスから痛恨の失点を喫する。自分たちのフリーキックのこぼれ球を処理しようとしたところ、“お見合い”が起きてまごついている間に、後方から駆けてきたプリシッチにボールを攫われ、一気の加速で抜き去られた。電光石火のカウンターでゴールを陥れられた。

 後半はシティも守備のメカニズムを見直し、チェルシーに対してボールを握る時間やチャンスを増やしていった。そして55分に、ケビン・デ・ブライネの縦回転で鋭く落ちる驚くべき軌道の直接フリーキックで追いつくも、あと一歩が足りなかった。そして最終的にフェルナンジーニョの退場、PKでの2失点目へとつながっていく。

「非常に拮抗した試合で、オープンな展開になる時間帯もあった。3試合プレーしたけれど、まだコンディションが上がりきっていないと感じるところがある。だが、いいプレーができず、ミスを犯したから負けた。

(同点ゴールのフリーキックは素晴らしかったが?)いや、僕らは間違いを犯したんだ。それもシーズンを通してずっとそうだった。チェルシーのようなチームは本当にうまく仕留めてくる。この試合から学ぶ必要があるし、日曜日の試合でははっきりと良くなった姿を見せる必要がある」

 デ・ブライネは試合後のフラッシュインタビューで、なかなか満足のいく結果を出せず優勝を逃した今季のもどかしさを吐露した。ペップ・グアルディオラ監督が示すプレー原則にのっとって戦うものの、相手の対策も進んで勝ちきれない試合が増えたのは事実。さらに課題とされていた層の薄いセンターバックやサイドバックの補強も進まず、常に後ろに不安を抱えながらだった1年間の総括としては的確だろう。

 プレミアリーグで優勝するには、チェルシーのような強豪にもコンスタントに勝ち続けなければならない。そのための競争力が、今季のリバプールに比べて劣っていたことは認めなければならない。

「リバプールは明らかに最高のチームだった。僕たちがもっと良かったとしても、勝つチャンスすらなかったと思う。皆が思うよりずっと難しいだろうね。彼らにはおめでとうと言いたいし、(チャンピオンに)値する。僕たちは今まで通りやり続ける。望んでいたものではないけれど、2位も悪くないと思うよ。それが全てさ」

シティとチェルシーは次なる戦いへ

チェルシー
【写真:Getty Images】

 デ・ブライネもリバプールとの大きな差を、認めざるをえないようだ。ペップ・グアルディオラも「リバプールを祝福したい」と述べ、今季のシティとの差を次のように分析していた。

「昨季のように一貫したものがなかったと思う。リバプールはチャンピオンズリーグで優勝した後、信じられないほどの自信を獲得していた。プレミアリーグのタイトルも30年間なかったので、それを勝ち取るために凄まじいほど集中していたと思う。最初の試合から、全てが最後の試合であるかのように戦っていた」

 シティがプレミアリーグで頂点に立ち続けることができなかったように、来季のリバプールも連覇の難しさに苦しめられる可能性は十分にある。常に変化のあるサッカー界において、永遠に王者であり続けられるチームはない。特にイングランドは群雄割拠、多くのクラブがタイトルを狙える戦国時代だ。

 結果的にシティは“自滅”に近い形でリーグ連覇を逃したが、今季の戦いはまだまだ続いていく。チェルシーとともにFAカップとチャンピオンズリーグ(CL)で勝ち残っており、今季中に両クラブが再戦する機会があるかもしれない。そして、もし欧州の頂点を極めた時には、今季のリバプールのような圧倒的な自信を手に入れられるだろう。

 スタンフォード・ブリッジで試合を終えた後のシティの選手たちに打ちひしがれた様子はなく、それぞれが旧知チェルシーの選手たちとピッチ上で談笑していた。すでにリバプールとの勝ち点差がかなり開いていたこともあったからか、もう頭の切り替えは済んでいるようだった。

 デ・ブライネも「まだまだFAカップとCLでタイトル獲得のチャンスが残っているし、もしそれを勝ち取れた時を想像したら、素晴らしいシーズンだったと言えるんじゃないかな」と、気持ちを入れ替えて次なる戦いに照準を合わせていく意思を示した。

 チェルシーはプレミアリーグでも、来季のCL出場権獲得のために気の抜けない日々が続く。7試合を残してリバプールのリーグ優勝は決まってしまったが、それでシーズンが終わったわけではない。

 圧巻の強さを見せて30年ぶりのトップリーグ制覇を成し遂げた彼らへの祝福はもちろんながら、これからもエキサイティングな試合を見続けられる喜びを感じずにはいられない。

(文:舩木渉)

【了】

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June 26, 2020 at 11:01AM
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