<SMBC日本シリーズ2020:ソフトバンク4-0巨人>◇第3戦◇24日◇ペイペイドーム
今季途中に巨人からロッテにトレード移籍した沢村拓一投手(32)が、日刊スポーツに観戦記を寄せた。「SMBC日本シリーズ2020」第3戦をペイペイドームのネット裏で生観戦。11年から9年半巨人でプレーした経験に加え、今季はロッテで22試合登板して、ソフトバンク打線とも対戦。セ・リーグ、パ・リーグの野球を知る現役投手の視点で、特別なシリーズへの思いを寄せた。
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日刊スポーツで「観戦記」の機会をもらい、記者席から試合を見させていただいた。9月まで在籍した巨人、ロッテに移籍後、対戦したソフトバンク。感じたことや思ったことを記す前に、トレード後、直接お会いできなかった原監督にごあいさつをと思い、昨夜、チーム宿舎に伺った。監督は「おう。ひろかず。どうしたんだ」と笑顔で迎えてくれた。「日刊スポーツの企画で試合を見ます」と答えると、「外から野球を見るのはいい機会だよ」と言われた。
僕が対戦したソフトバンクの印象は、選手個々が何をすべきか分かっていることだった。この試合に例えるなら、2点リードの7回1死一、二塁、中村晃選手のバッティングがそうだった。アウトになっても、何が何でも一、三塁もしくは二、三塁になるように引っ張れるボールを待ってるように感じた。それが相手をジワジワと苦しめ、結果的にバッテリーミスやエラーでの失点につながることがある。ソフトバンクは個の力の延長線上に組織としての戦いがあり、勝ち方を知っているように感じた。
対ソフトバンクで僕が意識したのは「ここに投げなくちゃいけない」ではなくて、「ここで何をしたらダメか」を一番に考えた。仮に走者を出しても、ゼロに抑えればいいんだと。四隅に投げるコントロールはないけど、多少コントロールを間違えても力で抑えられる自信はあったので、どんどんゾーン内で勝負した。セ・リーグではボール先行のカウントになることが多く、打者も見てくることが多かったけど、パ・リーグは2ボールからでも振ってくる。勝負が楽しいし、臆せずに攻めた。
巨人時代はストライクゾーンを4分割で考えていたけど、ロッテの時は内外角の2分割に変えた。ケース、状況、場面を考えながら「自分を許す」ようにもした。極端に言えば、左打者が進塁打を狙ってくるケースで、外に2球ボールになったとしても、進塁打を打たれないようにしてるからOKだと。「どうしよう」じゃなく、許すことも大事だなと思った。自然と自分を苦しめてたことに気付けたのも大きかった。
初めて記者席からグラウンドを見て、湧き上がったのは悔しさだった。9日前、ソフトバンクに敗れ、今シーズンが終了した。選手としてはこの場に立ちたかったし、純粋に両チームの選手をうらやましくも思った。正直、ジャイアンツと戦いたかった。
試合開始からヒーローインタビューまで記者席から見させてもらったが、あらためて感じたのは9年半ともに戦った仲間、原監督、コーチ、スタッフ、みなさんへの感謝の気持ちだった。野球人として、グラウンドに立てることがいかに幸せかを感じたし、野球の魅力、面白さ、難しさ、いろんなことを感じた2時間58分だった。(ロッテ投手)
◆沢村拓一(さわむら・ひろかず)1988年(昭63)4月3日、栃木県栃木市生まれ。佐野日大から中大を経て、10年ドラフト1位で巨人入団。1年目の11年に新人王。15年に配置転換されると、守護神として2年連続35セーブ以上を記録し16年には最多セーブ。今年9月に香月一也とのトレードでロッテ移籍。通算352試合、48勝52敗75セーブ、防御率2・77。13年WBC、15年プレミア12日本代表。184センチ、102キロ。右投げ右打ち。
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